問題提起:
保育園選びは、多忙な現代の親にとって深刻な悩みです。認可保育園と認可外保育園、そして認証・認定保育園など、選択肢が多く、どれが最適か迷うことも少なくありません。
記事を読んでわかること:
この記事では、保育園選びに関する基礎知識から具体的な選び方までを解説します。認可保育園と認可外保育園の違いやそれぞれのメリット・デメリット、さらには認証・認定保育園や他の新しい保育施設の登場についても触れます。
記事を読むメリット:
この記事を読むことで、保護者は自身のニーズや子供の状況に合った最適な保育環境を見つける手助けができます。また、保育士や保育園関係者にとっても、保育園選びに関する重要な情報や業界の動向を把握することができます。
イントロダクション
保育園は、現代の多忙な両親にとって欠かせないサポートシステムです。仕事や他の責任を果たしつつ、子供たちの安全かつ健康的な成長を確保するためには、適切な保育環境が必要不可欠です。この記事では、保育園に関する基礎知識として、認可と認可外のポイントから種類や選び方について解説し、保護者がより良い選択をするための情報を提供するとともに、就業環境を変えたいと考える保育士に取っても有用な情報になるかと思います。
認可保育園と認可外保育園の違い
保育園は大きく認可と認可外に分けられます。まずはこの2つの違いについてみていきたいと思います。
認可保育園
児童福祉法に基づき、国が定めた認可基準をクリアした保育園で、法律上では保育所とも呼ばれます。この基準の中には施設の広さ、職員数、保育士の資格などが規定されています。法律に基づいた基準に沿っているかを確認し、都道府県知事(政令指定都市市長、中核市市長を含む)によって認可されています。運営側のメリットとして、認可保育園は国から補助金を受けることができる点にあります。公立と私立のいずれも存在します。
認可外保育園
国の認可を受けていない保育園で、無認可保育園とも呼ばれます。施設の広さや職員数などの基準を満たしていないため、国の認可を受けていません。補助金を受けていないため、保育料は認可保育園より高額です。一方で、運営側としては認可取得にかかる時間を短縮できるので、素早く運営開始をすることができる点、そして保育料を比較的自由に決められるがメリットです。また一部の認可外保育園は夜間保育や特徴的な保育方針を提供しています。公立は全て認可を受けているものになるため、私立しか存在しません。
認可保育園と認可外保育園のメリット・デメリット
認可保育園のメリット
保育料が安い
認可保育園は、その年の世帯収入によって翌年度の保育料が決まりますが、認可外保育園の保育料と比べて安い傾向があります。具体的には3~5歳児や0~2歳児がいる非課税世帯は、保育料が無償化制度により無料です。
国の基準を満たしているので安心できる
認可保育園は、国が定めたさまざまな設置基準をすべてクリアし、都道府県知事の認可を受けた施設です。そのため保育士の数や施設の広さなどが厳格に規定され、それを遵守している事が大前提であり、安心感の一つの基準となります。また補助金も受けて運営されているため、施設の運営も安定しています。
認可保育園のデメリット
時間外保育は役所への申請が必要
保育時間は、保育標準時間と保育短時間の2つが定められています。保育給付認定を受けて、時間外の保育を利用する際は、役所への申請が必要です。また延長保育料を取られることがあります。
認可外保育園のメリット
休日や夜間も保育している園が多い
認可外保育園は、認可保育園に比べて、休日や夜間も保育している施設が多いです。お仕事の時間帯によっては、認可保育園では時間帯が合わない場合もあるため、保育園選びに重要です。
認可保育園にはないサービスがある
スポーツに特化した保育園や、外国人の保育士と英語だけで過ごす保育園もあります。
特定の分野を学ばせたいと考えている方に選択肢があります。
空きがあればいつでも入園ができる
自治体への申請が必要ない施設では、保育園に空きがあればすぐに入園できます。共働き家庭などで必ず保育が必要といったご家庭でなくても、預けることが可能です。
認可外保育園のデメリット
保育料が高い
認可外保育園は、公的な補助がないため、保育料は比較的高めです。ただし、助成制度があるため、一部の世帯は無償化を受けられます。
保育士の数の基準が低い
認可外保育園は、保育士の数の基準が認可保育園よりも低くなります。必ずしも足りないという訳ではありませんが、保育士の数が少ない場合、子ども一人ひとりへの対応が難しくなることがあります。
施設の大きさや環境に違いがある
認可外保育園は、国から得られる補助金によって施設の大きさや環境が異なります。
一部の認可外保育園は、施設の設備や環境が整っていない場合もあります。
自治体による規制が異なる
認可外保育園は、自治体ごとに規制が異なります。保育内容や運営方針も施設ごとに異なるため、保護者は慎重に選ぶ必要があります。
入園の際の手続きが煩雑
認可外保育園への入園は、自治体への申請が必要ないため、手続きが簡単です。しかし、一部の施設では面接や説明会が行われることもあります。独自のルールをしっかりキャッチアップする必要がある点を注意しましょう。
認証・認定保育園とは?
ここまで見てきて、認可外保育園より認可保育園の方が良いように思われている方も多いかもしれません。しかし、認可外だからと言って安全性を全く保障していない訳ではありません。国の法律基準は満たしていなくとも、各都道府県・市区町村に認められた保育園も実は認可外保育園に分類されていることはご存知でしょうか。ここからはそのような保育施設の定義を見ていきたいと思います。
認証保育園
認証保育園は、東京都が定めている基準を満たしている認可外保育園のことです。この国とは別の独自の基準は、東京都の特性を生かしており、認可保育園ではカバーしきれないさまざまなニーズに応えられるよう定められています。認証保育園には以下の2つのタイプがあります。
A型:
対象年齢: 0歳児から5歳児
定員: 20人から120人
開所時間: 13時間以上が原則
駅前に設置することを基本
B型:
対象年齢: 0歳児から2歳児
職員数: 6人から29人
開所時間: 13時間以上が義務
認証保育園は民間企業を含むさまざまな事業者によって運営されており、保育料は園ごとに設定されています。東京都が定めた基準を満たした認可外保育園であり、認可保育園とは異なる特徴を持っています。認証保育園は、共働き世帯にとっては嬉しい0歳児からの保育が可能であり、長い開所時間も魅力的です。
横浜保育室
神奈川県横浜市が独自に設けた基準をクリアして市から認定を受けた保育園です。
A型とB型があり、0~2歳の子どものみが利用対象です。
開園時間は平日7:30~18:30、土曜日7:30~15:30です。
川崎認定保育園
神奈川県川崎市が低年齢児の待機児童の解消を目的とした制度で、A型とB型に分かれています。A型は駅前に設置することを基本とし、B型は保育室制度からの移行を中心としています。開園時間はA型が基本的に7~18:00(20:00まで延長義務有)、B型は日中11時間以上です。
ナーサリールーム
埼玉県さいたま市の基準をクリアして市から認定を受けた保育園です。0~5歳の子どもが利用対象で、月額料金は子ども1人あたり月額2万円を上限に設定されています。
千葉市保育ルーム
千葉県千葉市の認可外保育施設の基準をクリアし、さらに1年以上の運営実績を有する保育園です。
これらの認証保育園や認定保育園は、都市部で待機児童問題を解消するために設置されており、多様な保育ニーズに応えています。認証や認定を受けた保育園は、特定の基準を満たしていることが証明されています。これにより、保護者はより信頼性の高いサービスを受けることを期待できます。
その他の認可外保育園
事業所内保育施設
事業所内保育施設は、企業が主体となって保育を提供する事業のことです。具体的には、企業が自社の事業所内に保育所を設置し、従業員の子育て支援を行う施設を指します。この制度を活用することで、従業員は産休や育休を取得しやすくなり、計画的に人員の確保や配置ができるようになります。一般には認可外保育園の分類になりますが、2015年に施行された「子ども・子育て支援新制度」の「地域型保育事業」の一環として、国が定めた基準を満たすことで市町村の認可を受けられるようになりました。
院内保育園
病院内で医療従事者の子どもを預かる施設です。通常の保育施設では対応できない、24時間交代での勤務が必要な、医療スタッフの勤務時間に合わせて保育を行います。
ベビーホテル
夜間や宿泊を伴う保育を要する子どもを預かる施設です。24時間体制で保育を提供している場合もあります。
居宅訪問型保育施設
ベビーシッターなどが家庭を訪問し、保護者の代わりに保育を行う施設です。乳幼児の居宅で保育を提供します。
まとめと今後の展望
保育園の選択は、子供の成長にとって重要な決定です。認可保育園や認可外保育園、認証・認定保育園など、様々な選択肢がありますが、保護者は子供のニーズや自身の希望を考慮し、施設の安全性や運営方針、保育料などをよく検討した上で、最適な保育環境を選ぶことが重要です。また保育園で働く保育士もそのような特徴をよく理解した上で、就業環境を選ぶことが重要です。
保育園業界は常に変化しており、今後も新しいトレンドやニーズが生まれることが予想されます。そのため、保護者や保育園関係者は常に情報を収集し、最新の動向に対応していきましょう。