問題提起:
保育士としてのキャリアアップを目指す中で、「副主任保育士」という役職の重要性はますます増しています。しかし、実際にどのような役割を果たし、どのようにしてこの役職に就くのか、多くの人が疑問に思っているでしょう。
記事を読んでわかること:
この記事では、副主任保育士の具体的な役割と職務内容、キャリアアップのための研修方法やそのメリットについて詳しく解説します。また、副主任保育士になるための資格要件や、キャリアアップ後の労働環境と給与についても触れます。
記事を読むメリット:
この記事を読むことで、あなたは副主任保育士としてのキャリアパスを明確に理解し、今後のキャリア形成における具体的なステップを知ることができます。これにより、保育士としての専門知識とスキルを向上させ、より高い役職に就くための準備が整います。
副主任保育士が増えた背景
数年前までの保育園の役職と言えば、園長を筆頭に主任保育士が在席し、以下は一律で保育士として、特別なポジションがない事が一般的でした。しかし、保育士のキャリアアップや待遇の改善を目的に、2020年処遇改善加算Ⅱが開始され、対象の研修を受けた者が指定の役職に就く事で、補助金がもらえることになりました。この対象の役職が、何を隠そう副主任保育士になります。こういった背景があり、各施設では保育士のキャリアアップや定着率を高めるために、新たに副主任保育士を配置する施設が増えることになりました。
副主任保育士の役割と職務内容
副主任保育士の重要性
副主任保育士は、保育園の運営において非常に重要な役割を担っています。保育士としての経験を積んだ上で、更に上位の役職に就くことで、保育の質の向上や職員の育成に大きく貢献します。キャリアアップの意義は、単に職位が上がるだけでなく、保育士としての専門知識やスキルが向上し、より多くの責任を持つことで園全体の発展に寄与する点にあります。
副主任保育士の具体的な役割
副主任保育士は、主に主任保育士のサポートを行い、保育園の日常業務の円滑な運営を支えます。保育園によって役割は様々ですが、一般的には、以下のような役割があります。
- 保育業務のリーダーシップ:クラスの運営や保育計画の作成
- 職員の指導・育成:新人や若手保育士の教育・指導
- 保護者対応:保護者との連絡・相談対応
- 園全体のサポート:主任保育士や園長と連携し、園の方針や計画を実行
主任保育士との違い
主任保育士は、副主任保育士の上位に位置し、保育園全体の運営・管理を担当します。両社とも中間管理職という立場ではありますが、主任保育士は、園の運営方針を策定し、スタッフ全体の管理を行いますが、副主任保育士は、より具体的な日常業務の管理やスタッフのサポートに重点を置く傾向が高いです。
副主任保育士になるには
資格要件
副主任保育士になるために特別な資格は必要なく、あくまで施設単位の役職ではありますが、処遇改善加算Ⅱの対象として補助金をもらうためには以下に示す一定の条件を満たす必要があります。
- 経験年数概ね7年以上
- 職務分野別リーダーを経験
- マネジメント+3つ以上の分野 の専門研修を修了(2024年現在)
- 副主任保育士としての発令
3つ目の「マネジメント+3つ以上の分野 の専門研修を修了」というのが、2017年に創設されたキャリアアップ研修の受講という事になります。また3つ以上となっている研修の終了は、毎年度1分野ずつ引き上げられ、段階的に全分野へと広がる予定となっています。
キャリアアップ研修の概要と目的
キャリアアップ研修は、保育士の専門性と資質を向上させることを目的とした研修プログラムです。研修は、都道府県等の地方自治体単位で実施され、研修終了の効力は全国どこでも有効となります。研修の内容は、保育士の処遇改善とともに、保育の質を高めるために設計されており、具体的には以下の通りです。
【専門研修】
乳児保育
幼児保育
障害児保育
食育・アレルギー
保健衛生・安全対策
保護者支援・子育て支援
【マネジメント】
【保育実施研修】
これらの分野は、保育現場で必要とされる知識とスキルを網羅しています。
キャリアアップのメリット
専門知識の向上
キャリアアップ研修を受けることで、保育に関する専門知識や技術が大幅に向上します。具体的には、専門研修の乳児保育や障害児保育など、専門的な対応が求められる分野について深く学ぶことができます。また、マネジメント研修において、一人の保育士としての立場から、保育園全体を管理・改善するための俯瞰的な考え方や能力を身に付けることができます。
待遇改善と給料アップ
キャリアアップによって役職が上がると、それに伴い給与もアップすることが一般的です。特に、主任保育士や副主任保育士などの役職に就くことで、処遇改善加算などの補助金も受けられるようになります。また保育士個人にとってもスキルや知識が付くというメリットに加え、保育園にとっても専門知識を有するスタッフが増えるというメリットが生まれます。
転職や復職時の有利なポイント
前述の通り、キャリアアップ研修の修了証は全国で有効であり、転職や復職の際にも有利に働きます。実施機関は各自治体やNPO法人となっていますが、例えば、他県に移っても研修の効力は失われず、新しい職場でもその実績をアピールできます。
キャリアアップ研修の受講方法
受講のステップと手続き
キャリアアップ研修の受講は、以下のステップで進められます。
- 研修の申し込み:自治体や研修機関のウェブサイトから申し込みを行います。
- 受講料の支払い:指定の方法で受講料を支払います。
- 研修受講:研修に参加し、課題やレポートを提出します。
- 修了証の取得:研修を修了すると、修了証が発行されます。
研修の具体的な内容と学びのポイント
研修の内容は、座学、グループワーク、ディスカッションなど、多岐にわたります。例えば、乳児保育研修では乳幼児の発達段階に応じた保育方法を学び、マネジメント研修ではリーダーシップや組織運営のスキルを習得します。
オンライン研修と集合研修の違い
オンライン研修は、自宅からインターネットを通じて受講できるため、時間や場所の制約が少ないのが特徴です。一方、集合研修は対面で行われるため、他の参加者との交流や実践的なワークショップが行いやすいというメリットがあります。
副主任保育士の給与と労働環境
給与等の待遇
前述したような研修を経て、副主任保育士となった方の給与は、一般の保育士よりも高く設定されることが多いです。あくまで一般的なデータではありますが、25~30万円が平均的な相場となっており、具体的な金額は園によって異なりますが、処遇改善加算などの補助金が加算される場合が多いです。
この金額だけをベースに考えると、主任保育士に比べてだいぶ低く感じられるかもしれません。しかし、以前紹介した主任保育士の平均勤続年数が20年超である事と比較すると、最短で概ね7年の実務経験で就任可能な副主任保育士は決して待遇が悪いという事ではないと考えられます。
労働環境
副主任保育士の労働環境は、園の運営や保育の質を高めるために多岐にわたる業務をこなす必要があります。そのため、主任保育士と同様に、労働時間や業務内容が多岐にわたることが多く、適切なマネジメントが求められます。
副主任保育士を目指すためのアドバイス
効果的な学習方法と時間管理
効果的な学習方法としては、定期的な研修の受講や専門書の読書、実務を通じたスキルアップが挙げられます。また、時間管理も重要で、業務と研修の両立を図るために計画的なスケジュール管理が必要です。例えば、月に1度の勉強会やオンライン講座を利用して継続的に学習することで、効率よく知識を深めることができます。また、日々の業務の中で疑問点や課題をメモし、それを研修や勉強会で解決する習慣をつけると良いでしょう。
資格取得と研修の併用方法
資格取得と研修を併用することで、より専門的な知識とスキルを身につけることができます。例えば、保育士資格以外にも、子育て支援やマネジメントに関する資格を取得することで、保育現場での役割が広がります。これにより、キャリアアップの際に他の候補者と差別化を図ることができます。また、研修の内容を実務に応用し、実績としてアピールすることも有効です。
キャリアアップ後の職務と業務の変化
キャリアアップ後の副主任保育士は、保育現場でのリーダーシップを発揮し、園全体の運営や職員の指導・育成に関わる役割が増えます。また、保護者対応や行政への報告業務など、事務的な業務も増加します。これにより、保育士としての視野が広がり、より高いレベルの専門性が求められます。
まとめ
副主任保育士としてのキャリアアップは、保育士としての専門知識やスキルを大幅に向上させ、保育園の運営や保育の質向上に貢献するために非常に重要です。キャリアアップ研修を受講し、実務での経験を積むことで、保育士としてのキャリアをより充実させることができます。
今後のキャリアパスとしては、副主任保育士としての経験を生かし、主任保育士や園長など、更なる上位の役職を目指すことができます。また、保育に関連する他の分野(例:子育て支援、教育コンサルタントなど)への転職も視野に入れることができます。キャリアアップを通じて得た知識やスキルは、保育業界全体の発展にも貢献するでしょう。
このように、副主任保育士としてのキャリアアップは、保育士としての成長だけでなく、保育園全体の発展にも寄与する重要なプロセスです。継続的な学習と実務経験の積み重ねを通じて、より高いレベルの専門性とリーダーシップを発揮していきましょう。