問題提起:
保育園事務に求められるスキルとは何でしょうか?資格がなくても働けるのでしょうか?また雇用側に保育園事務を採用するメリットはあるのでしょうか。
記事を読んでわかること:
この記事では、保育園事務の具体的な仕事内容や必要なスキル、そして資格の有無による影響について詳しく解説します。また、一般事務との違いや一日の流れについても触れます。
記事を読むメリット:
この記事を読むことで、保育園事務職の全体像を把握し、必要なスキルや資格の有無についての理解が深まります。さらに、保育園事務のやりがいや大変さ、給料や待遇についても知ることができ、保育園事務職に興味がある方や転職を考えている方、そして初めて保育園事務を採用しようとしている保育園にとって、有益な情報を得ることができます。
はじめに
保育園の事務職とは、保育園の運営に欠かせない多岐にわたる事務業務を担当する職種です。この職種は、保育士が子どもたちのケアや教育に専念できるように、園内の業務をサポートする重要な役割を果たしています。具体的には、経理業務、書類作成、シフト管理、保護者対応など多岐にわたる業務をこなします。このポジションは、保育園運営の円滑化に欠かせない存在であり、保育士とともに園の成長を支える重要な役割を果たしています。
保育園事務の基本的な仕事内容と役割
保育園事務の仕事は多岐にわたります。主な業務としては以下の通りです。
仕事内容
経理業務
保育園の収入や支出の管理を行い、月次報告書や年次決算書を作成します。これには、予算の計画や資金の調達、支払い処理などが含まれます。
給与計算
職員の給与を計算し、給与明細を発行します。また、社会保険や税金の処理も行います。
シフト管理
保育士や他のスタッフのシフトを管理し、必要に応じて調整を行います。これには、休暇の申請や突発的な欠勤への対応も含まれます。
書類作成
入園申請書、契約書、保護者向けの通知文書など、多種多様な書類を作成します。これには、各種手続きのためのフォーマット作成や、保護者への情報提供が含まれます。
電話対応
保護者や関係者からの電話対応を行い、必要に応じて情報提供や相談対応を行います。
保育補助
保育士の手が足りない際に、イベント用の備品の準備や作り物の作成を行ったり、子どもの安全管理を行うなど、保育士のサポートを行います。
役割
前述したように保育事務は保育士の業務を代わりに行う事もあれば、主任保育士や副主任保育士の業務のサポートとして、シフトの管理や経理関連の業務を行ったりと様々な事に携わります。重要な事は、保育事務がいることで、園長や主任保育士を始め、保育園で働くスタッフ全ての業務負荷を軽減し、それぞれが効率的かつ効果的に業務に当たる事ができる様になる点です。そのため保育事務は縁の下の力持ちとして、保育園での潤滑油としての役割を担っていると言えるでしょう。
保育園事務の一日の流れ
保育園事務の一日は多忙です。施設によって出退勤の時間や業務内容は様々ですが、以下に典型的なスケジュールを示します。
8:00 – 出勤: 園に到着し、メールチェックや朝のミーティングを行います。
9:00 – 書類作成: 入園申請書や保護者向けの通知文書を作成します。
10:00 – 経理業務: 会計ソフトを使って経理処理を行います。
12:00 – 昼休み: 他の職員と一緒に昼食を取ります。
13:00 – シフト管理: 保育士のシフトを確認し、必要に応じて調整を行います。
15:00 – 電話対応: 保護者や関係者からの電話対応を行います。
16:00 – 書類整理: 重要書類の整理や保管を行います。
17:00 – 退勤: 退勤前に翌日の準備を行い、一日の業務を終了します。
一般事務との違い
保育園事務と一般的な事務職との違いは、保育園特有の業務やスキルが求められる点にあります。
子どもや保護者との接点
保育園事務は、保護者とのコミュニケーションが頻繁に発生します。入園手続きや保護者会の準備、日常的な相談対応など、子どもに関するさまざまな対応を行います。これは、一般的な事務職には見られない特徴で、特にBtoBビジネスの事務経験をお持ちの方には新鮮に感じるところかもしれません。
保育に関する知識
保育園事務は、保育に関する基本的な知識が求められます。例えば、園児の健康管理や緊急時の対応など、保育士と連携して子どもたちの安全を守る役割も担います。これにより、より専門的な知識が必要とされることが多いです。
特殊な経理処理
保育園は補助金などが多く、通常の株式会社の会計処理に比べて。項目ごとに細かく売上計上をする必要が場合あるもあります。また多くの保育園が社会福祉法人であるため、社会福祉法人特有の「一取引二仕訳」の処理が必要になるため、株式会社の会計処理に慣れている方は注意が必要です。
保育園事務に必要なスキルと資格
保育園事務職に必要なスキルは以下の通りです。
パソコンスキル
WordやExcelなどのオフィスソフトを使いこなす能力が必要です。これらのソフトを使用して、書類作成やデータ管理を行います。また保育園の事務業務を効率化させる、様々なICTツールが増えています。これらを使いこなす、もしくは抵抗感なく導入できる能力も保育園の事務職にとっては重要なスキルになるでしょう。
コミュニケーションスキル
保護者や保育士との円滑なコミュニケーションが求められます。特に、保護者対応では丁寧な言葉遣いや迅速な対応が重要です。注意点としては、対面でのコミュニケーションに限らず、電話やメール、最近ではSNSでのやり取りも増えてきている点です。こういった場合に適切な言い回しができるようにトレーニングすることも重要です。また、職員間の情報共有や調整もスムーズに行う能力が求められます。
保育士資格
保育士資格は必須ではありませんが、所持していると、保育補助としての業務も行えるため、採用時に有利になることがあります。また、保育士資格があることで、子どもに対する理解が深まり、より適切な対応ができるようになります。
保育園事務のやりがいと大変さ
やりがい
保育園事務のやりがいは、子どもの成長を間近で見守りながら、保育士をサポートできる点です。事務作業を通じて園全体の運営を支える役割を担うことで、保育士や保護者から感謝されることも多く、やりがいを感じることができます。このように一般的な事務職との違いが、そのまま保育園事務のやりがいであるともいえるでしょう。
大変さ
一方で、保育園事務の仕事は多岐にわたり、特に繁忙期(4月~6月)は非常に忙しくなります。入園手続きや年度末の決算作業などが重なるため、時間に追われることが多くなります。また、入園したばかりの子どもたちが多いこの時期は、環境の変化に慣れず、体調不良を始め、さまざまなトラブルが起きることが多いです。そのような場合の保護者対応や緊急時の対応など、ストレスの多い業務も含まれます。それらと並行してさらに、細かい事務作業などの業務が多いため、集中力や注意力が求められます。
保育園事務の給料と雇用形態
給料の相場
保育園事務の給料は、公立と私立で異なります。また当然ながら常勤と非常勤でも差があります。
少し古いデータになりますが、令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査によると
私立
平均勤続年数 10.4年
給与月額(賞与込み)340,919円
想定年収 4,091,026円
公立
平均勤続年数 6.4年
給与月額(賞与込み)258,926円
想定年収 3,107,107円
となっており、勤続年数に差があるため、簡単な比較はできませんが、私立の方が高い傾向にある事が分かります。
福利厚生と労働環境
保育園事務職の待遇や福利厚生は園によって異なりますが、一般的には社会保険完備、交通費支給、有給休暇制度などが整っています。また、福利厚生として研修制度や育児休業制度を設けている園もあります。さらに保育士に比べると、終業時間に制限がある場合でも勤務しやすい勤務体系になっている事が多いのが特徴です。
雇用形態
保育事務は保育士と違い、配置人数などが決まっているわけではないので、各施設が自由裁量で有無を含めて判断しています。そのため正社員の場合もあれば、パート・アルバイトの場合もあり、最近ではコストメリットも含めて、一部の業務を外部のBPOパートナーに委託する事も増えてきています。
まとめ
保育園事務は、保育園の円滑な運営に欠かせない重要な役割を担っています。多岐にわたる業務内容と保育士や保護者との密接な連携が求められるため、大変さもありますが、それ以上に子どもの成長を支えるやりがいや達成感を感じることができる職種です。保育園事務を通じて、保育園全体の運営に貢献し、保育士を支える役割を果たしたい方には非常におすすめの職業です。また保育園を経営する立場からは、こういったポジションを設けることで、現場の業務負担の軽減効果がある事、結果として離職率の低下やモチベーションの向上につながる事も忘れてはいけません。正社員雇用が難しい場合はアルバイト・パータイムでの雇用や、外部委託の活用も含めて是非検討をしてみてください。