問題提起:
保育士として働く中で、さらなるスキルアップを目指したいと考えたことはありませんか?現場での経験を活かし、より高い専門性を持って保育に取り組むためには、どのような方法があるのでしょうか。

記事を読んでわかること:
本記事では、保育士のキャリアアップ研修について、研修の重要性と目的、新設された役職とその要件、具体的な研修内容、研修を受講することで得られるメリット、さらに受講方法と手続きについて詳しく解説します。

記事を読むメリット:
この記事を読むことで、保育士としてのキャリアアップを目指すための具体的なステップがわかります。研修の詳細やその効果を理解し、自身のキャリア形成に役立てるための情報を得ることができます。また、研修を通じて得られるメリットを知り、今後のキャリアプランをより明確に描けるようになります。

はじめに

キャリアアップ研修は、保育士が専門性を高め、保育の質を向上させるために設けられた重要な制度です。保育士として働く中で、さらなるスキルアップを目指すためには、この研修を受講することが不可欠です。本記事では、キャリアアップ研修の重要性と目的、具体的な研修内容やそのメリット、受講方法について詳しく解説します。初心者にもわかりやすく説明しますので、ぜひ参考にしてください。

キャリアアップ研修とは?

概要

キャリアアップ研修は、保育士の専門性を向上させ、処遇を改善するために設けられた研修制度です。この研修を通じて、保育士は最新の専門知識と技術を学び、保育の現場でリーダーシップを発揮するためのスキルを身につけることができます。

背景

2017年に厚生労働省によって策定されたガイドラインに基づき、キャリアアップ研修は開始されました。このガイドラインは、保育士の専門性を高め、保育の質を向上させることを目的としています。各都道府県や指定された研修機関が、このガイドラインに従って研修を実施しています​。

新設された役職とその要件

キャリアアップ研修を受講することで、新たな役職に就くことができます。以下に、主な役職とその要件を紹介します。

副主任保育士
要件: おおむね7年以上の保育経験、3分野以上の研修修了+マネジメント研修​
役割: 主任保育士をサポートし、施設全体の運営や保育士の指導・相談役を務めます。保育の現場でリーダーシップを発揮するために必要な知識とスキルを習得します。

専門リーダー
要件: 7年以上の保育経験、4分野以上の研修修了
役割: 他の保育士をまとめ、専門的な知識を活かして保育現場をリードします。特定の専門分野においてリーダーシップを発揮し、現場の保育士をサポートします。

職務分野別リーダー
要件: 3年以上の保育経験、1分野以上の研修修了
役割: 特定の専門分野におけるリーダーとして、保育士に指導やアドバイスを行います。現場での具体的な課題解決に貢献します。

研修内容の詳細

キャリアアップ研修は、専門分野別研修、マネジメント研修、保育実践研修の3つの主要なカテゴリーに分かれています。それぞれの研修内容を詳しく見ていきましょう。

専門分野別研修

乳児保育
主に0歳から3歳未満児向けの保育内容を学びます。乳児保育の意義、環境、適切な関わり方、発達に応じた保育内容、指導計画、記録及び評価など、乳児保育に関する理解を深め、適切な環境を構成し、個々の子どもの発達状態に応じた保育を行う能力を養います​​。

幼児教育
主に3歳以上児向けの保育内容を学びます。幼児教育の意義、環境、発達に応じた保育内容、指導計画、記録及び評価、小学校との接続など、幼児教育に関する理解を深め、適切な環境を構成し、個々の子どもの発達状態に応じた保育を行う能力を養います​​。

障害児保育
障害の理解、障害児保育の環境、発達の援助、家庭及び関係機関との連携、指導計画、記録及び評価など、障害児保育に関する理解を深め、適切な障害児保育を計画し、実践する能力を養います​​。

食育・アレルギー対応
栄養に関する基礎知識、食育計画の作成と活用、アレルギー疾患の理解、食事の提供ガイドラインなど、食育とアレルギー対応に関する知識を深め、実践的なスキルを身につけます​​。学習後は栄養士との連携に面でも活躍が見込まれます。

保健衛生・安全対策
保健計画の作成と活用、事故防止及び健康安全管理、感染症対策ガイドラインなど、保健衛生と安全対策に関する理解を深め、適切な対策を講じる能力を養います​​。保育園での事故が増えている昨今では重要度が高いと認識されています。

保護者支援・子育て支援
保護者に対する相談援助、地域における子育て支援、虐待予防、関係機関との連携、地域資源の活用など、保護者支援と子育て支援に関する理解を深め、適切な支援を行う能力を養います​​。保護者とのスムーズな情報共有が保育園の信頼性を高めます。

マネジメント研修

リーダーシップ、組織目標の設定、人材育成、働きやすい環境づくりなど、主任保育士の下でリーダーとしての役割を担うために必要な知識とスキルを学びます​。自園の円滑な運営と保育の質を高めるために必要なマネジメント・リーダーシップの能力を身に付けることができます。

保育実践研修

環境構成、子どもとの関わり方、身体を使った遊び、言葉・音楽を使った遊び、物を使った遊びなど、保育現場での実習経験が少ない者や、長期間保育現場から離れている者を対象とし、実践的な能力を養います。

こども家庭庁「保育士等キャリアアップ研修ガイドラインの概要」参照

研修のメリット

専門知識の深化

研修を通じて専門的な知識が深まり、現場での保育の質が向上します。これにより、子どもたちにより良い保育を提供することが可能となります。さらにリーダーとして専門分野の社内研修を行うことで、自身の知識やスキルが体系化されます。

全国共通の修了証

研修主体は各都道府県などの地方自治体がメインですが、研修修了証は全国で通用するため、転職や復職時にも有利です。一度取得すれば、その資格は全国どこでも無期限で有効です。

費用の軽減

多くのキャリアアップ研修が無料または低コストで提供されており、特に都道府県主催の研修では自身が所属する施設の種類(公立か私立か、認可か認可外かなど)によりますが、テキスト代のみの負担で済む場合が多いです。これにより、経済的な負担を少なくして研修を受けることができます。eラーニングを活用した場合、導入コストがかかることもありますが、全体的には費用を抑えることができます。

受講方法と手続き

申し込み手順

都道府県又は都道府県知事の指定した研修実施機関(保育に関する研修の実績を有する非営利団体)により研修が実施されます。キャリアアップ研修の申し込みは、所属する保育施設を通じて行います。施設内での調整が必要となる場合もあるため、事前に施設の担当者と相談しておくとスムーズでしょう。

受講形式

研修は対面、eラーニング、オンライン形式など、さまざまな形式で提供されています。1分野につき、研修時間は15時間以上とされており、例えば、eラーニングで2時間×6講義の動画視聴と3時間のZoomオンライン演習を組み合わせる形式や、対面での7.5時間×2日の研修などが一般的です。自分のライフスタイルに合った形式を選び、効率的に受講しましょう。

研修のスケジュールと内容

最新の研修スケジュールや内容は、各都道府県や指定研修機関の公式サイトで確認することができます。受講前にしっかりとスケジュールを確認し、計画的に研修を受講することが大切です。特に対面での研修は園児が通園する日中行われることもあります。施設内の他の保育士との連携や協力が必要になる事もある点は注意しましょう。

受講者の声と体験談

受講者の成功事例

キャリアアップ研修を受講したことで、新たな役職に就いた保育士のインタビューを紹介します。例えば、副主任保育士に昇進したAさんは、研修で学んだリーダーシップスキルを活かし、保育施設全体の運営をサポートしています。彼女は「研修を受けたことで自信がつき、日々の業務に前向きに取り組むことができるようになりました」と語っています。

現場での変化

研修を受講することで、現場に具体的な変化が見られることが多いです。例えば、専門分野別研修を受けた保育士は、乳児保育の質が向上し、保護者からの信頼も厚くなりました。また、マネジメント研修を受けた保育士は、施設の運営効率が上がり、スタッフ間のコミュニケーションも改善されました。

キャリアアップ研修以外の外部研修の必要性

キャリアアップ研修において、保育士としてのステップに必要な知識・スキルを身に付けることができますが、更にその他の外部研修を受講することで更なるスキルアップが期待できます。以下が具体的な学習内容の一例です。

財務管理・予算管理

今後主任保育士や園長といった更なるキャリアアップを目指すにあたって、保育園のお金に関する知識を付けることは有用です。簡単な財務管理や資金繰り、予算作成や実績対比など、最低限の財務知識を身に付けると良いでしょう。

ITリテラシーの強化

昨今のICT化の波は当然ながら保育業界にも大きな改革をもたらすものになります。現状ではまだまだICTに強い人材が少ない保育現場においては、このような知識を持っていることで、業務改善などの新たな分野の業務に関われるようになるかもしれません。

コーチング技術

人材育成のスキルとも繋がるところとして、コーチングがあります。これは自発的行動を促進させ、視野を広げ、考え方や行動の選択肢を増やすことを支援します。リーダーなどの立場として、ただ指導・教育するのではなく、こういった「導く」事ができるとより施設の発展に繋がる事でしょう。

これらの研修はキャリアアップ研修と比べると費用が掛かるものが多いですが、キャリアアップ研修では身に付けられない知識やスキルを手にすることができる良い機会になるでしょう。

まとめ

キャリアアップ研修は、保育士の専門性を高め、保育の質を向上させるための重要な制度です。研修を通じて得た知識とスキルは、現場での業務に大いに役立ちます。また、新たな役職に就くことでキャリアアップが図れ、処遇改善にもつながります。
保育士としてのキャリアを向上させるために、キャリアアップ研修を積極的に受講し、自身のスキルと専門性を磨き続けましょう。またキャリアアップ研修以外の外部研修もさまざまなスキルをアップさせるのにとても有効なものになります。
あなたの努力が、より良い保育環境を創り出します。未来の保育を担うあなたに期待しています。