問題提起:
認定こども園制度は、現代の社会状況に即した子育て支援の重要な一翼を担っていますが、その種類や運営形態についての理解が不十分な方も少なくありません。
記事を読んでわかること:
この記事では、認定こども園制度の4類型の概要や各種類の特徴、運営要領、また入園にあたり必要な1・2・3号の認定制度の違いなどについて詳しく解説します。さらに、各種類の教育内容や保護者へのサポート体制、将来性や社会への影響についても掘り下げています。
記事を読むメリット:
この記事を読むことで、認定こども園制度に関する理解が深まり、働く上での最適な選択肢を見つける手助けになるでしょう。
認定こども園制度と役割とは
認定こども園制度は、急速な少子化の進行や共働き家庭の増加など、家庭・地域社会を取り巻く環境の変化などを背景に、就学前の子どもに対する教育・保育や、子育て支援などを総合的に行う仕組みとして、2006年に創設されました。その背景を基に、認定こども園は、子どもたちが安心して過ごせる環境を提供し、その一環として保護者が安心して働ける環境を整えること、また、子どもたちの社会性や創造性、健康な心身の発達を支援することが重要な目的となっています。
子ども・子育て支援新制度における認定制度
認定こども園は子ども・子育て支援新制度の取り組みとして、就学前の教育・保育を受けられる新たな選択肢として誕生しました。その際の施策として認定制度を導入し、それぞれの家庭や子どもの年齢に併せて、保育園・幼稚園・こども園の役割を明確にすることになりました。
1号認定
保育を必要とする事由に該当しない満3歳以上の小学校就学前の子どもが対象です。利用したい施設が幼稚園(施設型給付園)または認定こども園(幼稚園枠)であれば、1号認定を取得します。この認定を受けるための特定の条件はありません。基本的な保育時間は午後2時半までの1日4時間です。
2号認定
子供が満3歳以上、小学校就学前が対象で、保護者が「保育が必要な理由」に該当することが条件です。この理由の一例としては両親が共働きの場合や保護者に疫病、障害がある場合、またはひとり親家庭等の事由に該当します。2号認定で利用できる施設は保育所と認定こども園で、利用可能な時間は午後6時や午後7時頃まで、保育が必要な理由によって保育時間は1日11時間または1日8時間です。
3号認定
両親共働きやひとり親家庭等の事情で、3歳未満の子供を保育園等の施設に通わせたい場合に対象です。3号認定で利用できる施設は保育所、認定こども園、地域型保育で、住民税非課税世帯であれば無償化の対象となります。
このように大きな括りで見ると、認定こども園は全ての認定に対応する運営形態である事が分かります。
子ども子育て新制度については以下の記事も参照ください
認定基準と運営要領
認定こども園を取得するには、こども家庭庁が定める厳しい基準をクリアする必要があります。これには、施設の設備や人員配置、教育内容などが含まれます。また、運営要領には、保育の質の維持や向上のための具体的な指針が示されています。これらの基準と要領は、子どもたちの安全と健やかな成長を守るために不可欠です。認定こども園は、幼児教育と保育を一体的に行う施設で、いわば幼稚園と保育所の両方の良さを併せ持っています。
一方で、認定こども園の中にも4種類の型があり、それぞれ特徴が変わっていきます。事項で認定こども園4類型の幼保連携型・幼稚園型・保育所型・地方裁量型をそれぞれ見ていきたいと思います。
幼保連携型認定こども園
概要
法的性格:
学校かつ児童福祉施設
設置主体:
国、自治体、学校法人、社会福祉法人
職員の要件:
保育教諭(幼稚園教諭と保育士資格を併有)
食事の提供:
給食の提供義務あり(自園調理が原則、調理室の設置義務)
開園日・開園時間:
11時間開園、土曜日の開園が原則(弾力運用可)
特徴
幼保連携型認定こども園は、0歳から6歳までの子どもを対象とし、幼稚園と保育所が連携して運営される施設です。これにより、子どもたちが幼児期から学びや遊びを通じて健やかに成長できる環境を提供します。運営要領は、保育と教育の両方に重点を置き、子どもの発達段階に合わせた個別の支援を行います。幼保連携型認定こども園の目的は、保護者が安心して子育てを行えるような支援体制を整え、子どもたちの健やかな成長を促進することです。
その他の特徴として、株式会社が運営できない事、職員の要件が保育教諭(幼稚園教諭と保育士資格を併有)という点にあります。
保育士としてのポイント
- 幼児教育と保育の両方に対応できる能力が求められます。
- 年齢別に異なるカリキュラムや活動を設定し、それぞれの成長段階に合わせた支援を行う必要があります。
- 保育と教育が連携しているため、教育的なアプローチと保育的なアプローチのバランスを取ることが大切です。
保育所型認定こども園
概要
法的性格:
児童福祉施設(保育所+幼稚園機能)
設置主体:
制限なし
職員の要件:
満3歳以上→両免許・資格の併有が望ましいがいずれかでも可(ただし、教育相当時間以外の保育に従事する場合は、保育士資格が必要)
満3歳未満→保育士資格が必要
食事の提供:
給食の提供義務あり(自園調理が原則、調理室の設置義務)
開園日・開園時間:
地域の実情に応じて設定
特徴
保育所型認定こども園は、保育所の運営基準に基づいて運営される施設です。その特色は、子どもたちの生活習慣や日常生活の支援に重点を置きながら、遊びや学びを通じて子どもたちの健やかな成長を促します。運営基準は、施設の設備や安全管理、保育スタッフの配置などに関する基準を定めており、保護者にとって安心できる環境を提供します。また、保護者へのサポート体制も整えられており、子育てに関する相談や情報提供などを行います。
その他の特徴として、幼保連携型と幼稚園型と違い運営法人に制限がないため株式会社等による運営が可能な点、職員の要件が保育士資格とされているところにあります。
保育士としてのポイント
- 保育に重点を置きつつ、教育的活動も柔軟に取り入れる能力が求められます。
- 保育の基本に加え、教育要素をどのように組み込むかを考え、実践することが必要です。
- 保護者との連携を密にし、保育のニーズに応じた個別対応を行うことが求められます。
幼稚園型認定こども園
概要
法的性格:
学校(幼稚園+保育所機能)
設置主体:
国、自治体、学校法人
職員の要件:
満3歳以上→両免許・資格の併有が望ましいがいずれかでも可
満3歳未満→保育士資格が必要
食事の提供:
給食の提供義務あり(自園調理が原則、調理室の設置義務)
開園日・開園時間:
地域の実情に応じて設定
特徴
幼稚園型認定こども園は、幼稚園の教育理念に基づいて運営される施設です。その特徴は、遊びを通じた学びや社会性の育成を重視し、幼児期における基本的な学びや生活習慣の形成を支援します。教育方針は、子どもの個性や能力を尊重し、主体的な学びを促すことに焦点を当てています。また、提供するプログラムは、遊びや体験を通じて創造性や思考力を育むことに重点を置いています。
その他の特徴として、幼保連携型と同様に株式会社が運営できない事に加えて、社会福祉法人も運営ができない点、職員の要件が幼稚園教諭免許または保育士資格とされているところにあります。
保育士としてのポイント
- 教育的なプログラムを中心にしながらも、保育が必要な場合に対応する能力が求められます。
- 教育に重きを置くため、カリキュラムの計画や実施において高い専門性が求められます。
- 保育士としては、教育的視点を持ちながらも、子どもの生活全般に対するサポートも行う必要があります。
地方裁量型認定こども園
概要
法的性格:
幼稚園機能+保育所機能
設置主体:
制限なし
職員の要件:
満3歳以上→両免許・資格の併有が望ましいがいずれかでも可
満3歳未満→保育士資格が必要
食事の提供:
給食の提供義務あり(自園調理が原則、調理室の設置義務)
開園日・開園時間:
地域の実情に応じて設定
地方裁量型認定こども園は、地域のニーズや状況に応じて柔軟に運営される施設です。その役割は、地域の特性や課題に即した保育・教育サービスの提供を行うことにあります。地域社会への貢献として、地域の子育て支援ネットワークに積極的に参加し、地域住民との連携を深めながら、子どもたちとその家族に必要な支援を提供します。課題としては、地域の人口減少や高齢化といった課題に対応しながら、適切なサービスを提供することが挙げられます。
その他の特徴として、運営法人の制限と、職員の資格については保育所型と同様になります。
保育士としてのポイント
- 地域に特化したニーズに応じた保育や教育を提供するための、地域理解と柔軟な対応が求められます。
- 地域との連携を深め、地域資源を活用した保育活動を行うことが重要です。
- 地域特有の文化や習慣に対応するための工夫や、保護者とのコミュニケーションがカギとなります。
各種認定こども園の教育内容とサポート
幼保連携型、幼稚園型、保育所型、地方裁量型それぞれの認定こども園が提供する教育内容やプログラムには、各々特徴があります。
幼保連携型
保育と教育の両方をバランスよく提供し、子どもたちの全面的な成長を促進します。
保育所型
日常生活の中での保育・教育を行いながら、安心して働ける環境を提供します。
幼稚園型
遊びや体験を通じた学びを重視し、創造性や思考力を育てます。
地方裁量型
地域のニーズに合わせて柔軟に運営され、地域社会への貢献を目指します。
また各種認定こども園が保護者に提供するサポート体制や連携体制にも違いがあります。あくまでも一例にはなりますがそれぞれの運営特徴に合わせて、以下のような取り組みをするところが多いです。
幼保連携型
保護者とのコミュニケーションを重視し、家庭との連携を密に取りながら、子どもの成長をサポートします。
保育所型
保護者の就労支援や子育て相談など、さまざまなサポートを提供します。
幼稚園型
保護者向けのイベントや講座を開催し、子育てに関する情報提供を行います。
地方裁量型
地域の保護者ニーズに合わせた支援を行い、地域の子育て環境を充実させています。
まとめ
認定こども園の各タイプには、それぞれ特有の目的や運営スタイルがあります。保育士としては、これらの違いを理解し、各園の方針や対象に応じた適切な保育を提供することが重要です。また、各タイプの保育園で働くことで、多様な保育環境や教育方針に触れる機会が得られ、自身のスキルをさらに高めることができるでしょう。