保育業界におけるICTツールの必要性
今、保育業界は人手不足や業務負担の増加といった大きな問題に相対しています。労働環境の改善や働き方改革の要請が高まる中、業務を効率化し、職員の負担を軽減するICTツールの導入が求められています。
一方で、このような状況を理解しつつも、ICTの導入や推進に悩む保育園施設も多いのではないでしょうか。
- 似たようなシステムが多くどれがいいのか分からない
- 導入したけど思ったようにスタッフに浸透しない
- 多機能すぎて使いこなせない
このように状況に違いはあれど、少なからず悩みを抱える保育園がほとんどかと思います。
今回はそのような施設の参考になるように、園と保護者のコミュニケーションサービス「mierun(みえるん)」に関して深堀をして、使い勝手を検証してみたいと思います。
園と保護者のコミュニケーションサービス「mierun(みえるん)」とは?
システムの概要
「mierun(みえるん)」はBIPROGY株式会社から提供されている園と保護者のコミュニケーションに特化した、連絡帳システムです。
現在約200施設に導入された実績を持ち、導入先は90施設を要する大規模グループ園から、1園のみの小規模保育園まで様々な規模の施設があります。
同社の調べによるとICTツールは保育園の6割が既に導入済みであるものの、実務的な現状から連絡帳システムの利用状況はその中でも半数程度、つまり保育園全体で3割程度の施設でしか利用されていないいう点に注目し、特許出願済の「手書き帳票読み取り機能」を盛り込んだところが一番の強みとなっています。
「ベテラン保育士に愛されるアプリ」というコンセプトのもと、保護者と接する点を中心に機能化しているところが特徴です。
主な機能
mierun(みえるん)の主要な機能は主に以下の3つがあげられます。併せて弊社の保育士の感想も記載しています。
お知らせ機能
個別チャット機能
保育士と保護者がコミュニケーションを取るためにアプリ上でやり取りをする事ができる機能です。やり取りに関しては保育園からのお知らせと個別の報告の2種類が考えれれ升が、情報を発信する保育士側から返信の可否を選択できるため、やり取りが必要な内容のみに返信をもらう事が可能になります。
もうすぐつきます機能
こちらは保護者にとって便利な機能です。例えばお迎えの時間に間に合わないかもなどといった場合に、電話をすることなくアプリ上からボタン一つで連絡することができ、電車を降りて電話するなど更なる時間ロスを防ぐことが可能になります。
連絡帳機能
コメント一括挿入機能
連絡帳への記載業務を劇的に改善してくれる機能です。こちらを使う事で、一日の報告の中で固定されるような内容(例えば今日は午前中に公園に行きましたなど)をクラス単位で定型化でき、好きなように連絡帳に挿入できる機能です。これにより連絡帳記載の業務時間を劇的に削減することが可能になります。
保育メモ機能
保護者には表示せず、園内だけで共有したい内容を園児毎に記載することができる機能です。保育日誌として活用する事もでき、園長などの承認印を押すことも可能です。
保育士の目!
保育士版はすべての子どもの出席状況や連絡帳も確認できるので、必要な時に誰もが必要な情報を知って対応できるのは便利だなと感じました。
手書きメモ読み取り機能
手書きで書いた資料をカメラで読み込み、文字お越ししてアプリ内に自動で入力してくれる機能です。付箋やメモに書いた文字はもちろん、手の甲に書いた文字であっても読み取り可能です(とは言え、自分だけでなく他人が読めるように最低限丁寧に書く必要はあります)。これにより、パソコンなどの端末に限りがある時や、デジタルが苦手なパート保育士などのメモを後程打ち直すなどという必要性がなくなり、より保育に割く時間を取ることができるようになります。
保育士の目!
園で使えるパソコン端末が限られており、それがハードルとなり連絡帳は手書きを使用していました。みえるんは手書きのメモを読み込んでくれるため、今までの運用を大幅に変えることなく、無理のないシステム移行をする事ができました。
スマート登降園機能(オプション)
登降園打刻機能
保護者が保育園のタブレットやパソコン端末のカメラにQRコードをかざすだけで打刻ができる機能です。QRコードは保護者用アプリから簡単に表示することができるほか、印刷したものを利用することもできます。また兄弟姉妹の分をまとめて一回で打刻する事も可能です。
手書き登降園記録読み取り機能
連絡帳機能の手書きメモ読み込みと同じように、手書きの登降園記録記録表をまとめて読み込みシステムに反映することができる機能です。
mierun(みえるん)のメリットは?
導入しやすい機能に限定されている
mierun(みえるん)の特徴は保護者とのコミュニケーションに係るところを中心にしたシステム化です。保育園の運営を考えた時に、保育園運営側と現場保育士、そして保護者の3つの視点が必要になります。運営側はなるべくデータ化された情報が欲しい、保護者もスマホの普及に伴い、全てアプリで完結できるものを望んでいるという点で利害が一致している一方、現場保育士は業務も特性や設備等の状況も含めて今までのやり方を変える事が難しいのが現状です。その点においてmierun(みえるん)は機能を限定していることで、全ての業務をシステム化することなく、現場に落とし込みやすいものであると言えるでしょう。
新機能「手書き帳票読み取り機能」※特許出願済
前述したように保育園においてICT化の進度が遅い理由として、保育士が利用する設備・物品に制限があることやデジタルが苦手な保育士の方が一定数いらっしゃるという状況があげられます。このような保育現場におけるICTの利用実態にあわせて、最新技術による手書き(アナログ)とのハイブリッドによる業務効率化を実現した点が注目ポイントと言えます。
全ての作業をシステムに併せる事ができれば理想的ですが、現実的には難しいのも事実です。そこでシステム導入を諦めるのではなく、手書きという既存の運用を残しつつ、システムでデータ管理をできる状況を作り出すことが可能であるという点が、mierun(みえるん)一番のポイントと言えるでしょう。
導入しやすい価格とサポート体制
システム導入において重要となる価格面において、人数に関わらず1施設5,500円(税込)と分かりやすい設定になっているのもポイントです。またサポート面にも力を入れており、導入サポートはもちろん、2週間に1回のアップデートを目標に開発をしており、不具合対応も早急に行ってくれる点は魅力的です。
mierun(みえるん)のデメリットは?
メリットの裏返しになりますが、デメリットとして考えられるのは、機能が限定的というところにあるかと思います。他のシステムに比べて、園と保護者のコミュニケーションというところに特化しているため、例えばコドモンでは可能な、シフト管理や給食・献立管理など保育園の業務を全て一元管理するといった事は現状できません(ただしコドモンにおいても基本機能として搭載している訳ではなく、追加金額が必要なオプションになります)。またmierun(みえるん)に限った事ではないですが、システムの導入は少なからずハードルがあり、特に慣れない導入初期段階は保育士や保護者にとっても負担に感じる事はあるかと思います。
保護者の目!
連絡帳での入力において、確認は下の方を見るというのが慣れていないので、入力しながらそのまま下へ入力が進んでいく方がスムーズなのかなと感じました。
一方で一度内容を提出しても、追加や変更が出来るのはとてもよいなと感じました。朝バタバタしながら提出した後に、これも伝えたかった、うんちが出た…など、変更出来るのはありがたいです。
ですが冒頭に申し上げた通り、多機能すぎて使いこなせないような施設も多い状況の中では、連絡帳に特化しているという点で絶対にデメリットとは言い切れないかと思います。ICT化を進める上では、全てをシステム化する事に奔走するのではなく、業務とのバランスを考えてICT化を行う事が重要だからです。
mierun(みえるん)は導入すべきシステムか?
みえるんに限らず、システムを導入する際のポイントはまずは業務を可視化し整理する事です。詳細は別記事を参照して頂ければと思いますが、まずシステム化にあたり、その業務は本当にシステム化すべきなのか、手書きを含めたアナログで進めるのはダメなのか、これらを必要性や緊急度、業務の性質など施設に合う切り口に分けて4象限にして整理する事が重要です。
この点においてmierun(みえるん)は手書き情報もハイブリットに利用可能なシステムである事は導入を検討するにあたるシステムとして考えても良いかと思います。
まずは資料請求やデモ利用が可能であるため、ご自身の施設に合っているか実際に触ってみて検証してみることをお勧めします。その上で保護者の満足度はもちろん、保育士の業務効率化に寄与するか、そのためのコストとして、このシステムが価値ある物なのか総合的に判断することが良いかと思います。
保育園運営の未来を見撮えて効果的なシステムを導入しよう
今回はmierun(みえるん)について紹介しました。ICTツールの導入により、事務的な保育業務が効率化され、人が主体となる業務に注力できるようになります。ただし、システムは導入してもうまく活用できなけば意味がありません。自園に必要なシステムを見極め、運用の旗振りをしてくれる人材が必要なのも事実です。弊社は今回紹介したmierun(みえるん)に限らず、様々なシステムを保育園の一員として一緒になって探し、運用スタートのサポートから実務まで幅広くお手伝いします。システムに詳しい人材不足に悩む保育園様は是非一度、弊社にご相談下さい!